
「国際的な競争力を生むイマーシブコンテンツの未来」
11月20日(木)12:30〜14:00
国際会議場 2F 201会議室
イマーシブというキーワードはエンタメ分野では欠かせないキーワードとなっています。そのジャンルはVR、XR、プロジェクションマッピング、3D立体映像、メタバース、ライブ映像、ミュージアム、大型映像、ドーム映像、バーチャルプロダクションなど、今までのくくりに収まらないメディアとして新しい映像体験、ビジュアル体験を生み出し、その技術要素や表現手法はあらゆるところで活用され始めています。そんなイマーシブコンテンツの各界で活躍されている方々をお招きし、最新動向を伺うとともに今求められている国際競争に打ち勝つコンテンツ力についてディスカッションしたいと思います。また、コンテンツ力の底上げを目指すイマーシブコンテンツ・ソサエティの活動に関しても触れていきます。


アーカイブ映像(フルバージョン90分)
テーマの流れ
パネリスト&モデレータ紹介
パネリスト

待場 勝利 氏
株式会社CinemaLeap 取締役
イマーシブ・ジャーニープロデューサー
Beyond The Frame Festival フェスティバルディレクター
昨年12月に横浜にXR体験エンタテイメント大型施設「イマーシブ・ジャーニー」をオープン。LBE(ロケーションベースエンタテイメント)として注目を集める。第1弾「ホライズン・オブ・クフ」を成功に収め、現在は第2弾「Tonight with the Impressionists Paris 1874 〜印象派画家と過ごす夜」が公開中 。それ以外にもBeyond The Frame Festivalのディレクターを務め、海外のXR映画祭との連携を図りながら、日本のXRコンテンツの世界進出を目指す。

西田 淳 氏
株式会社ドリルCCO
ヴィジュアル・ストラテジスト
イマーシブ・ミュージアム プランナー
イマーシブ・ミュージアム「印象派 IMPRESSIONISM」、「ポスト印象派 POST IMPRESSIONISM」昨年の「印象派と浮世絵IMPRESSIONISM & JAPONISMゴッホと北斎、モネと広重」。今年9月まで開催した「Immersive Museum OSAKA 2025 印象派と浮世絵」 カンヌ国際クリエイティビティフェスティバル、MTV Video Music Award、グッドデザイン賞、文化庁メディア芸術祭など国内外の受賞多数。

石多 未知行 氏
クリエイティブディレクター/メディアアーティスト
空間デザイナー
カラーズクリエーション株式会社 代表取締役
株式会社 NIGHT WAVE 代表取締役
(一財)プロジェクションマッピング協会 代表理事
映像を光として空間表現するアーティスト・演出家として国内外で活動し、唯一無二の作品や企画を多数生み出している。
プロジェクションマッピングを黎明期より手がけ、業界団体の発足や本国際大会の創設。現在では国内外の審査員や講演にも多数招聘される国際的第一人者。光の祭典「TOKYO LIGHTS」の立上げと総監修、東京都庁舎の「TOKYO Night & Light」のコンテンツ企画演出など、観光や公共事業などにも数多く携わっている。

渡邊 徹 氏
株式会社コンセント渡邊課
VR映像作家/クリエイティブディレクター
株式会社コンセントでクリエイティブディレクターを務め、奄美大島在住。東京と奄美を行き来しながら活動。VR映像ディレクターとして2014年からMVやライブVR、アーティストとのコラボ作品、企業向けトレーニングや施設紹介コンテンツなど300本以上の実写VRコンテンツを手掛ける。現在はApple VisionPro向けのイマーシブビデオの制作に力を入れている。
モデレーター

渡部 健司 氏
東京国際工科専門職大学
デジタルエンタテインメント学科
MIRAI-LABO. 教授
CG黎明期のJCGL、ナムコ(現バンダイナムコアミューズメント)を経て独立。CG、VFXの草分け的な存在として活躍。CG・VFX部門やスタジオの立ち上げにも参画。アイエヌエー、旭プロダクション、デジタルガーデン、円谷プロダクションなど。またプレビズ、3D立体映像、大型映像の普及啓蒙にも尽力。上映イベント、セミナー、ワークショップなども手掛ける。現在は大学で教鞭を執り、バーチャルプロダクション、3D立体映像、ドーム映像などの研究やコンテンツ開発をおこなっている。
オープニングトーク
コンテンツからイマーシブコンテンツへ
本日の話の流れを説明します。
まずはコンテンツ全体を俯瞰しておきたいと思います。
イマーシブコンテンツとは「没入感」「臨場感」と称されるような今までの受け身な映像視聴などとは一線を画するような圧倒的な映像体験のことを言います。
その語源となるimmerseは「浸る」とか「浸す」とかに由来します。キーワードは「非日常」、「新しい体験の価値創造」、より感情や感覚に訴えかける「人間拡張」(社会学者マーシャル・マクルーハン)という言葉にもシンクロします。
コンテンツの始まり(2004~)
まずは東京国際工科専門職大学の渡部健司氏から、全体の流れの説明と前段となる話をしてもらいました。
コンテンツ法(2004年)の制定
2004年5月にはコンテンツ事業の振興の基本法といえるコンテンツ促進法(コンテンツの創造、保護及び活用の促進に関する法律)(平成一六年法律第八一号)が成立した。ここで初めてコンテンツという言葉が広く一般に使われるようになった。
同法では、コンテンツを「映画、音楽、演劇、文芸、写真、漫画、アニメーション、コンピュータゲームその他の文字、図形、色彩、音声、動作若しくは映像若しくはこれらを組み合わせたもの又はこれらに係る情報を電子計算機を介して提供するためのプログラムであって、人間の創造的活動により生み出されるもののうち、教養又は娯楽の範囲に属するものをいう」と定義しており、具体的には映画、音楽、演劇、文芸、写真、漫画、アニメ、ゲームなどを指すようになります。また、初めてプログラムやアプリにもコンテンツとしての権利が存在すると明記されました。
それまでのマスメディア、ニューメディア、マルチメディアと言われていたジャンルにコンテンツという概念が新たに加わることになります。デジタルコンテンツという言葉もこの頃から使われるようになりました。

過去25年間の日本のコンテンツ市場の推移
日本のコンテンツ市場は意外と低迷しています。
11兆円から13兆円のとほぼ横ばい傾向 もちろんゲームとか、ネットワークは成長しているが、放送、音楽は厳しい状況が続いている。

| 2001年 | 約13兆円前後 | デジタルコンテンツ白書の調査開始年 |
| 2010年 | 約11.9兆円 | スマホ普及でモバイルコンテンツが成長 |
| 2021年 | 約12.9兆円 | コロナ禍で巣ごもり需要が拡大 |
| 2023年 | 約13.6兆円 | 映像系ソフトが約60%を占める |
| 2024年 | 約14兆円 | 過去最高を更新、ゲーム・音楽が伸長 |
ⓒデジタルコンテンツ白書
経産省が打ち出したコンテンツ施策(2004年~)
当時、コンテンツ産業は日本の基幹産業として重要なポジションにあり、2010年頃までに15~20兆円にするという施策を打ち出したが、その実現はなかなか難しかった。
コンテンツビジネス振興政策 ― ソフトパワー時代の国家戦略 ―
2004年4月 知的財産戦略本部コンテンツ専門調査会
これまでの我が国コンテンツ産業 国際展開に向けた取組
平成16年(2004年)7月 経済産業省 商務情報政策局文化情報関連産業課
クールジャパン機構(2013)の発足
2013年の設立以来、1200億円以上の投資に対してコンテンツによる回収が上手くいかず、一時期は400億円以上の赤字を抱える。
新たなクールジャパン戦略(2024年~)
2024年6月 知的財産戦略本部
クールジャパン2.0(2024年~)
クールジャパン戦略を再起動、クールジャパン関連産業を我が国の基幹産業として位置付け、海外展開を2033年までに20兆円とする。
(2024年8月6日内閣府)
コンテンツ輸出「クールジャパン機構」が24年度決算黒字 設立後初 2024年度単年度黒字化。純利益15億円、累積赤字383億円
日本経済新聞2025年6月25日
2025 年5月、経済産業省
2025年6月、経済産業省は「エンタメ・クリエイティブ産業戦略」を打ち出した。
その中身は~コンテンツ産業の海外売上高 20 兆円に向けた5ヵ年アクションプラン~と呼ばれるもので、マンガ、アニメ、IPを中心とした日本発信の「コンテンツ市場」を2030年(2033年)までに海外進出市場規模を現在の4.7兆円から20兆円規模に拡大するというものである。
文化芸術コンテンツ・スポーツ産業海外展開促進事業(2025)
2025年3月デロイトトーマツグループ
日本成長戦略会議(2025高市政権)
閣僚による「日本成長戦略本部」の初会合。人工知能(AI)や造船など17分野を重点投資対象と決定。

引用:JIJI.COM

イマーシブコンテンツの台頭(2024~)
そして、ここ数年のイマーシブコンテンツという言葉を聞くようになり、あちこちに出現するようになります。イマーシブ・シアター、イマーシブ・ミュージアム、イマーシブ・シアター、イマーシブ・ゲーム、イマーシブ・ダイニングなど。
また、LasVegasの「The Sphere」やLA、Dallasの「COSM」(Evans & Sutherland)のような大型LEDドームによる新しい映像の見せ方も出てきています。
イマーシブコンテンツと呼ばれる体験者がコンテンツの世界に深く入り込み、その場にいるかのような感覚、没入感を得られるように設計された新しい体験型コンテンツのことを指します。そこには新しい技術、表現、演出が求められようとしています。
イマーシブコンテンツとは?
新たに3つの方向性と10の表現要素、4つの技術要素を打ち出しています。

社会学者マーシャル・マクルーハン「人間拡張の原理」
(1967:原題「The Extensions of Man」)
「メディアは人間の感覚や身体の「拡張」であり、新しいメディアの登場は、それまでになかった感覚の比率や社会的な構造を生み出す」
もし、
今の時代に「メディア」という言葉を「コンテンツ」という言葉に置き換えたなら、
「コンテンツは人間の感覚や身体の「拡張」であり、新しいコンテンツの登場は、それまでになかった感覚の比率や社会的な構造を生み出す」
ここで言う拡張=Extensionsとは イマーシブにおける XR=Extensions Reality のことを指すのではないだろうか。
本日はイマーシブコンテンツを話の中心に据え、イマーシブが新たなコンテンツとして日本から世界へ、その秘めた競争力、ポテンシャル、可能性の話が出来たらと思っています。
パネラープレゼンテーション
早速、各パネラーの方々からプレゼンテーションをしていただきました。

Cinema Leap 待場勝利氏
表現の可能性 VS 収益性

待場 勝利 パネルプレゼン(アーカイブ字幕入り)
イマーシブ・ジャーニー 第1弾「Horizon of Khufu ホライズン・オブ・クフ」
現在上映中、第2弾「Tonight with the Impressionists Paris 1874 〜印象派画家と過ごす夜」
最近のトピックス 経産省からの支援を受ける「創風」

最近のトピックス Beyond the Frame Festival
5年前から始まった日本初のXR映像祭「Beyond the Frame Festival」そこでのフェスティバルディレクターを務めています。
待場さんの連載記事note「XR映画ガイド」
課題として見えてきたもの
株式会社ドリルCCO 西田 淳 氏
越境する映像体験 -AI時代のイマーシブのかたち-

西田 淳 パネルプレゼン(アーカイブ字幕入り)
Immersive Museum TOKYO vol.3 印象派と浮世絵




COLORs CREATION 石多未知行氏
映像による空間体験 日本と欧州シーンの違い

石多 未知行 パネルプレゼン(アーカイブ字幕入り)
海外とのネットワーク、プラットフォーム、アーカイブ、ミュージアム
消費型ではない外国との交わりの中にボーダーレスが生まれる



都庁前で行われている『TOKYO Night & Light』
神宮外苑前で行われた「TOKYO LIGHTS」
株式会社コンセント渡邊課 渡邊徹氏
横断型人材の重要性、その育成の鍵は

渡邉 徹 パネルプレゼン(アーカイブ字幕入り)
VRの必然性、新たな視点に立つ人材が問われるイマーシブ人材




‘Miyubi’ Trailer – A 40 Minute VR Film From Felix & Paul Studios
視点=VRである必然性が問われる
『舊家』(Home) VR體感劇院獻映
『舊家』は高雄市電影館(台湾南部・高雄市)とVR映像制作会社のFunique VR Studioによる共同製作。許智彦監督
Apple Immersive Video, Adventure Series: Ice Dive Trailer
時間になり、ここまでという感じで終了しました。もうちょっと聞きたかった。

ディスカッションの論点
ディスカッションにあたってモデレーターが用意したキーワードは次のようなものでした。
・何が足りない?
・何が必要?
・何を育てる?
・本当の競争力とは?
モノ・カネ・ヒト ハコ、スキーム、仕組み、仕掛け、プラットフォーム、、、。
それぞれの登壇者が語っていた言葉を拾い上げてみると
渡部健司 コンテンツの底上げ、施策の中身とオペレーションの設計
待場勝利 表現の可能性と収益性、そこに必要なエコシステム、産官学民、コミッティー、プラットフォーム
西田淳 「越境する映像体験」を設計する、領域こそが新たなコンテンツを生み出す
石多未知行 海外とのネットワーク、プラットフォーム、アーカイブ、ミュージアムな機能。消費型ではない外国との交わりの中にボーダーレスが生まれる
渡邊徹 必然性を語れる「イマーシブな人材」が必要




