本日の話の流れを説明します。

まずはコンテンツ全体を俯瞰しておきたいと思います。

イマーシブコンテンツとは「没入感」「臨場感」と称されるような今までの受け身な映像視聴などとは一線を画するような圧倒的な映像体験のことを言います。

その語源となるimmerseは「浸る」とか「浸す」とかに由来します。キーワードは「非日常」、「新しい体験の価値創造」、より感情や感覚に訴えかける「人間拡張」(社会学者マーシャル・マクルーハン)という言葉にもシンクロします。

まずは東京国際工科専門職大学の渡部健司氏から、全体の流れの説明と前段となる話をしてもらいました。

コンテンツ法(2004年)の制定

2004年5月にはコンテンツ事業の振興の基本法といえるコンテンツ促進法(コンテンツの創造、保護及び活用の促進に関する法律)(平成一六年法律第八一号)が成立した。ここで初めてコンテンツという言葉が広く一般に使われるようになった。

同法では、コンテンツを「映画、音楽、演劇、文芸、写真、漫画、アニメーション、コンピュータゲームその他の文字、図形、色彩、音声、動作若しくは映像若しくはこれらを組み合わせたもの又はこれらに係る情報を電子計算機を介して提供するためのプログラムであって、人間の創造的活動により生み出されるもののうち、教養又は娯楽の範囲に属するものをいう」と定義しており、具体的には映画、音楽、演劇、文芸、写真、漫画、アニメ、ゲームなどを指すようになります。また、初めてプログラムやアプリにもコンテンツとしての権利が存在すると明記されました。

それまでのマスメディア、ニューメディア、マルチメディアと言われていたジャンルにコンテンツという概念が新たに加わることになります。デジタルコンテンツという言葉もこの頃から使われるようになりました。

過去25年間の日本のコンテンツ市場の推移

日本のコンテンツ市場は意外と低迷しています。

11兆円から13兆円のとほぼ横ばい傾向 もちろんゲームとか、ネットワークは成長しているが、放送、音楽は厳しい状況が続いている。

2001年約13兆円前後デジタルコンテンツ白書の調査開始年
2010年約11.9兆円スマホ普及でモバイルコンテンツが成長
2021年約12.9兆円コロナ禍で巣ごもり需要が拡大
2023年約13.6兆円映像系ソフトが約60%を占める
2024年約14兆円過去最高を更新、ゲーム・音楽が伸長

ⓒデジタルコンテンツ白書

経産省が打ち出したコンテンツ施策(2004年~)

当時、コンテンツ産業は日本の基幹産業として重要なポジションにあり、2010年頃までに15~20兆円にするという施策を打ち出したが、その実現はなかなか難しかった。

コンテンツビジネス振興政策 ― ソフトパワー時代の国家戦略 ―
2004年4月 知的財産戦略本部コンテンツ専門調査会

これまでの我が国コンテンツ産業 国際展開に向けた取組
平成16年(2004年)7月 経済産業省 商務情報政策局文化情報関連産業課

2013年の設立以来、1200億円以上の投資に対してコンテンツによる回収が上手くいかず、一時期は400億円以上の赤字を抱える。

新たなクールジャパン戦略(2024年~)

2024年6月 知的財産戦略本部

クールジャパン2.0(2024年~)

クールジャパン戦略を再起動、クールジャパン関連産業を我が国の基幹産業として位置付け、海外展開を2033年までに20兆円とする。

(2024年8月6日内閣府)

コンテンツ輸出「クールジャパン機構」が24年度決算黒字 設立後初 2024年度単年度黒字化。純利益15億円、累積赤字383億円

日本経済新聞2025年6月25日

エンタメ・クリエイティブ産業戦略」 中間とりまとめ

2025 年5月、経済産業省

「エンタメ・クリエイティブ産業戦略」(2025)

2025年6月、経済産業省は「エンタメ・クリエイティブ産業戦略」を打ち出した。

その中身は~コンテンツ産業の海外売上高 20 兆円に向けた5ヵ年アクションプラン~と呼ばれるもので、マンガ、アニメ、IPを中心とした日本発信の「コンテンツ市場」を2030年(2033年)までに海外進出市場規模を現在の4.7兆円から20兆円規模に拡大するというものである。

文化芸術コンテンツ・スポーツ産業海外展開促進事業(2025)
2025年3月デロイトトーマツグループ

日本成長戦略会議(2025高市政権)

閣僚による「日本成長戦略本部」の初会合。人工知能(AI)や造船など17分野を重点投資対象と決定。

引用:JIJI.COM

そして、ここ数年のイマーシブコンテンツという言葉を聞くようになり、あちこちに出現するようになります。イマーシブ・シアター、イマーシブ・ミュージアム、イマーシブ・シアター、イマーシブ・ゲーム、イマーシブ・ダイニングなど。

また、LasVegasの「The Sphere」やLA、Dallasの「COSM」(Evans & Sutherland)のような大型LEDドームによる新しい映像の見せ方も出てきています。

イマーシブコンテンツと呼ばれる体験者がコンテンツの世界に深く入り込み、その場にいるかのような感覚、没入感を得られるように設計された新しい体験型コンテンツのことを指します。そこには新しい技術、表現、演出が求められようとしています。

新たに3つの方向性と10の表現要素、4つの技術要素を打ち出しています。

本日はイマーシブコンテンツを話の中心に据え、イマーシブが新たなコンテンツとして日本から世界へ、その秘めた競争力、ポテンシャル、可能性の話が出来たらと思っています。

早速、各パネラーの方々からプレゼンテーションをしていただきました。


表現の可能性 VS 収益性


待場 勝利 パネルプレゼン(アーカイブ字幕入り)

イマーシブ・ジャーニー 第1弾「Horizon of Khufu ホライズン・オブ・クフ」

現在上映中、第2弾「Tonight with the Impressionists Paris 1874 〜印象派画家と過ごす夜」

最近のトピックス 経産省からの支援を受ける「創風」

最近のトピックス Beyond the Frame Festival

5年前から始まった日本初のXR映像祭「Beyond the Frame Festival」そこでのフェスティバルディレクターを務めています。

待場さんの連載記事note「XR映画ガイド」

課題として見えてきたもの

 


越境する映像体験 -AI時代のイマーシブのかたち-


西田 淳 パネルプレゼン(アーカイブ字幕入り)

Immersive Museum TOKYO vol.3 印象派と浮世絵


映像による空間体験 日本と欧州シーンの違い


石多 未知行 パネルプレゼン(アーカイブ字幕入り)

海外とのネットワーク、プラットフォーム、アーカイブ、ミュージアム

消費型ではない外国との交わりの中にボーダーレスが生まれる

都庁前で行われている『TOKYO Night & Light』





神宮外苑前で行われた「TOKYO LIGHTS」


横断型人材の重要性、その育成の鍵は


渡邉 徹 パネルプレゼン(アーカイブ字幕入り)

VRの必然性、新たな視点に立つ人材が問われるイマーシブ人材

‘Miyubi’ Trailer – A 40 Minute VR Film From Felix & Paul Studios

視点=VRである必然性が問われる

『舊家』(Home) VR體感劇院獻映

『舊家』は高雄市電影館(台湾南部・高雄市)とVR映像制作会社のFunique VR Studioによる共同製作。許智彦監督

Apple Immersive Video, Adventure Series: Ice Dive Trailer

時間になり、ここまでという感じで終了しました。もうちょっと聞きたかった。

ディスカッションにあたってモデレーターが用意したキーワードは次のようなものでした。

・何が足りない?

・何が必要?

・何を育てる?

・本当の競争力とは?

  モノ・カネ・ヒト ハコ、スキーム、仕組み、仕掛け、プラットフォーム、、、。

それぞれの登壇者が語っていた言葉を拾い上げてみると

 渡部健司  コンテンツの底上げ、施策の中身とオペレーションの設計

 待場勝利  表現の可能性と収益性、そこに必要なエコシステム、産官学民、コミッティー、プラットフォーム

 西田淳   「越境する映像体験」を設計する、領域こそが新たなコンテンツを生み出す

 石多未知行 海外とのネットワーク、プラットフォーム、アーカイブ、ミュージアムな機能。消費型ではない外国との交わりの中にボーダーレスが生まれる

 渡邊徹   必然性を語れる「イマーシブな人材」が必要